睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)
疾患概要
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。10秒以上息が止まる状態を無呼吸といい、1時間あたり5回以上、睡眠中に無呼吸が見られる場合はこの疾患と診断されます。
日中の眠気や起床時の頭痛など日常生活への支障だけでなく、高血圧・糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などのリスクが高まります。
睡眠関連呼吸障害のなかで最も患者数が多く、日本における患者数は約500万人と言われています。
原因・症状
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は以下の3つのタイプに分類されます。
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)
- 肥満などが原因で、空気の通り道(上気道)が狭くなることで発症します。このタイプが最も多く、「いびき」を伴います。空気の通り道(上気道)が塞がると、無呼吸になります。
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)
- 脳から呼吸をする指令が来なくなってしまうせいで生じます。発症のメカニズムはまだ完全には解明されていません。
- 複合型(混合型)
- OSAとCSAの両方の特徴が見られます。
次にあげる症状にあてはまるものはありませんか?
- 大きないびきをかく
- 睡眠中に呼吸が止まる
- 日中いつも眠い
- 仕事や学業に集中できない(成績不振)
- 居眠り運転をよく起こしそうになる
- 起床時の頭痛やだるさ
- 熟睡感がない
- 夜中に何度も目が覚める
- 夜中に何度もトイレに起きる
- 起床時に口が非常に乾いている
この中にいくつかあてはまる方は睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。
治療の重要性
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠の質の低下だけでなく、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの原因となります。また、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳卒中などを引き起こす危険性も高くなります。
そのため、正確な診断と積極的な治療が重要となっています。
当院での検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査は、夜、寝ている時に行います。
ご自宅でも取り扱い可能な検査機器が登場したことで、現在はご自宅で検査が可能となりました。
- 簡易PSG検査
- 問診の結果、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には、ご自宅でも行える簡易睡眠検査を実施いたします。お休みになる際に、腕時計タイプの機械を装着し、一晩の検査を行います。
- 精密PSG検査
- 簡易検査よりもさらに詳しく、睡眠と呼吸の質の状態を調べる検査です。睡眠中の呼吸、呼吸努力、いびき、動脈血酸素飽和度、脈拍数、体位、体動、脳波など多くの項目を測定できます。総睡眠時間中の1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を正確に計測でき、確定診断に用いられます。
当院での治療(CPAP療法)
当院では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療にCPAP(シーパップ)療法を採用しています。この治療は睡眠時無呼吸症候群の治療法の中で最も効果的で、一般的に普及している方法です。
CPAP療法は、鼻に特別なマスクを着用し、一晩中一定の気圧の空気を送り込むことで、気道が開放され続け、無呼吸や低呼吸が防止されます。この結果、質の良い睡眠が可能になり、症状が改善されます。
CPAP療法で使用する機器は、患者様のご自宅に設置し、月1回の通院で治療効果を見ていきます。機器についてはメーカーが設置やメンテナンスを担当いたしますので、安心してご使用いただけます。
